午前十一時の下神田雨市。アスファルトの路面は絶え間なく降る冷たい雨に濡れ、無数のネオンの光を鮮やかに、そして気だるげに反射させている。頭上を走る飛行車の低い唸り音と、至る所から立ち上る屋台の揚げ油と香辛料の匂いが、あなたの五感を重く刺激する。あなたは水滴を弾くコートの襟を立て、古びた赤提灯が揺れる酒場『雨ノ下』の暖簾をくぐった。店内のカウンターには、無精髭を生やした目つきの鋭い男がグラスを拭きながら座っている。彼はあなたの姿を認めると、湿った空気を断ち切るように低く掠れた声で言った。「待ってたぜ、セシル。カグラ88タワーから、夜明けまでに一枚のデータを盗み出す。……報酬は破格だ。奥の席で依頼人がお前を待っている」

待ってたぜ、セシル。カグラ88タワーから、夜明けまでに一枚のデータを盗み出す。……報酬は破格だ。奥の席で依頼人がお前を待っている。

奥の席にいる依頼人のもとへ向かう
SCENE 01

あなたは湿った床を踏みしめ、薄暗い酒場の奥へと足を進める。ネオンの青白い光が窓の隙間から差し込み、古びた木製のテーブルを不気味に照らし出していた。そこに座る影――黒江は、あなたの気配を感じるとゆっくりとグラスを置き、静かな視線を向けてきた。「……来たわね。座りなさい」その声は冷ややかで、周囲の喧騒を切り裂くような鋭さを帯びている。彼女の足元を見ると、外の激しい雨と泥濘が嘘のように、革靴の表面は完璧なまでに乾いていた。

テーブルに腰掛け、仕事の詳細を促す
あなたは黒江の向かいの席に腰を下ろし、静かに仕事の詳細を促した。彼女は濡れることのない完璧な革靴のまま足を組み替え、冷ややかな微笑みを浮かべながら洗練された指先で小さなデータチップをテーブルの上に滑らせる。「カグラ88タワー、88階。そこに眠る『暗号鍵シャード』を私のために持ち出しなさい。期限は午前六時、タワーが夜明けを迎える前よ」彼女の香水の奥から、一般の人間が決して纏わない人工的な消毒液の匂いがかすかに漂う。その一瞬の微香に、あなたは彼女がこの雨市の住人ではない、まさに標的であるカグラの側からやってきた者であるという違和感を確信する。

仕事を引き受け、詳細な見取り図を要求する
あなたは冷ややかな視線を返す黒江に対し、微動だにせず仕事を引き受ける旨を告げ、詳細な見取り図を要求した。彼女は満足したように薄い唇の端をわずかに持ち上げ、ポケットから青く光るホログラムプロジェクターを取り出しテーブルに放り投げる。「話が早くて助かるわ。これがタワーの構造データよ。警備の配置はそこで確認しなさい」と、機械的な口調で言い捨てる。彼女が立ち去ろうと身じろぎしたその瞬間、濡れた床の上に一滴の水も落ちていない完璧な革靴の靴底が、かすかな摩擦音を立てて冷たい現実を物語っていた。

黒江の足元に目を向け彼女の正体を疑う
あなたは黒江の足元に広がる泥濘へとふたたび視線を落とした。雨市の一歩外に出れば泥まみれになるのが当然のこの街で、彼女の革靴は一切の汚れを知らない。まるで、最初からこの路上の過酷さを踏みしめていないかのように。ふふ……その不自然さに気づいたとき、君の背筋を冷たいものが走る。彼女はただの仲介役ではない。カグラの本社から直接送り込まれた、組織の人間だ。彼女が企む真の目的なら、あるいはタワーの最上層に眠る闇の深さをも凌駕するかもしれない。黒江は冷ややかに微笑むと、青く光るホログラムプロジェクターをテーブルに残して闇の中へと消えていった。あなたは今や、危険な迷宮の入口に立っている。タワーへ踏み出す前に、雨市で侵入の道具を手に入れなければならない。

ホログラムプロジェクターを確認する
あなたは黒江が残していった青く光るホログラムプロジェクターを手に取り、微小な起動スイッチを押した。空中に展開された立体映像には、威圧感を放つカグラ88タワーの立体モデルと、複雑怪奇な警備網が緻密に描き出される。最上層へ至るルートには、60階の出資者レセプション、裏通りの古びた中継局、そして夜の雨に煙る高所の連絡橋という三つの選択肢が示されていた。どれを選ぶにせよ、この闇に満ちた雨市で、まずはタワー内部へ踏み込むための確かな道具を手に入れなければならない。ふふ……どの路地裏に、君の求むべき鍵が隠されていることやら。

裏通りの古びた中継局の情報を集める
SCENE 02

あなたは酒場の喧騒を背に、雨煙る裏通りへと足を踏み入れた。路面に落ちるネオンの赤と青の光が、錆びたパイプやむき出しの配線を妖しく照らし出す。目的の古びた中継局があるのは、この先にある廃れたアーケードの影だ。しかし、そこに近づこうとした瞬間、街頭の公共端末が一斉に不穏なエラーを吐き出し、画面の端に『市民ID:審査中』という不気味な文字が点滅し始めた。その冷たい光景のすぐそばで、ひとりの若いエンジニアが焦った様子で端末の配線をいじっているのが目に入る。ふふ……君の求める裏回路の入り口は、どうやら思わぬ出会いの先にあるらしい。

さらに奥へ進んでみる
あなたはエラー表示を放ってさらに裏通りの奥へ足を踏み入れた。路面を叩く雨脚が強まり、ネオンの光が水溜まりの中でぐにゃりと歪む。その薄暗い軒先で、先ほどの若いエンジニア――ソラが、古びたターミナルを抱え込みながら肩を震わせていた。足元には『市民ID:審査中』と明滅するエラーログが無数に流れ落ちている。「来ないで……! 私の仕事のせいで、母さんの屋台まで……!」彼女はあなたを警戒し、恐怖と罪悪感が入り混じった瞳で身構える。あなたは一歩、彼女の領域へと近づいた。

来ないで……! 私の仕事のせいで、母さんの屋台まで……!

自分のせいだとは思わなかった。ごめんなさい。
あなたは怯えるソラに対し、低く落ち着いた声で自分を責める必要はないと告げた。その言葉に、彼女は驚いたように濡れた瞳を大きく見開き、震える息を整える。「……ほんとに? あなた、私の作ったシステムを壊しに来たんじゃないの……?」ソラは警戒を解きかけた様子で、膝を抱えていた腕を少し緩める。雨粒が錆びたトタン屋根を叩く音が、二人の間に漂う緊張を静かに包み込んでいく。彼女は息を呑むと、カグラの監視網を抜けるための古びたICEピックを懐から取り出し、震える指先で差し出した。「……これがあれば、中継局からタワーの回線に潜れる。母さんの屋台を……私たちの街を守ってくれるなら、これを使って」
使い捨てICEピック を手に入れた

……ほんとに? あなた、私の作ったシステムを壊しに来たんじゃないの……?

タワーへの侵入計画について相談する
あなたは手渡された使い捨てICEピックを静かに懐にしまい、ソラに向き直ってタワーへの具体的な侵入計画について相談を持ちかけた。ソラは袖口で涙を拭うと、緊張に強ばった表情を引き締め、早口なトーンで話し始める。「……中継局のICEピックを手に入れたなら、私の古いアクセス権をハッキングの足がかりにして監視網を欺けるわ。でも、地上からただ潜り込むだけじゃ警備のドロイドに見つかる。タワーの低層部か、あるいはもっと上層の……。ねえ、この街で今起きている『審査中』のエラーの噂を聞いた? 診療所の前じゃ、IDが通らなくて困っている人たちが溢れているのよ」彼女は怯えの色を隠しながらも、あなたに協力する意志を強く瞳に宿した。

中継局のICEピックを手に入れたなら、私の古いアクセス権をハッキングの足がかりにして監視網を欺けるわ。でも、地上からただ潜り込むだけじゃ警備のドロイドに見つかる。……ねえ、この街で今起きている『審査中』のエラーの噂を聞いた?

聞いてない
あなたはソラの言葉をただ静かに受け流し、目の前で起きた異変について尋ね返した。ソラは驚いたように目を丸くし、自分の髪を乱雑に掻きむしる。「聞いてないって……本気なの? 今日の夕方から、街の医療ネットワークが一斉にシャットアウトされたのよ。住民たちのIDが『審査中』って弾かれて、薬ももらえずに診療所の前で大勢の人が立ち往生しているわ。……カグラが何かを企んでいるのは間違いないのに、私にはもうどうすることもできない……」彼女の震える声は、冷たい雨音にかき消されそうになりながらも、この街に迫る深い闇の予感をあなたに突きつける。

聞いてないって……本気なの? 今日の夕方から、街の医療ネットワークが一斉にシャットアウトされたのよ。住民たちのIDが『審査中』って弾かれて、薬ももらえずに診療所の前で大勢の人が立ち往生しているわ。

暗号鍵シャードについて聞いてみる
あなたは冷ややかな雨の中、ソラに『暗号鍵シャード』の所在について問いかけた。彼女は怯えたように周囲を窺い、声を潜めて答える。「シャードがあるのは、カグラ88タワーの最上層――88階の厳重な保管庫よ。でも、ただ近づくだけじゃ警備のドロイドや生体認証に蜂の巣にされるわ。中継局のICEピックがあるなら、私の古いバックドアを使ってネットワークから潜り込むか、あるいは直接あの鉄壁のタワーへ向かうしかない……。あなた、本当にそこへ行くつもりなの?」彼女の眼差しには、微かな期待と拭えぬ恐怖が入り混じっていた。

シャードがあるのは、カグラ88タワーの最上層――88階の厳重な保管庫よ。でも、ただ近づくだけじゃ警備のドロイドや生体認証に蜂の巣にされるわ。

黒江という女性から依頼を受けたんだ
SCENE 03

あなたはソラに向かって、黒江という女性から依頼を受けたのだと率直に告げた。その名を聞いた瞬間、ソラは青ざめた顔をさらに強ばらせ、ガタガタと震え始める。「く、黒江……!? 彼女はカグラの役員会の人間よ! そんな人と繋がっているなんて……」彼女は持っていた端末を落としそうになりながらも、恐怖を押し殺すようにあなたを見据えた。「彼女の狙いはただのデータ泥棒なんかじゃないわ。……でも、中継局のICEピックを持っているなら、タワーの監視網を欺いて上層へ潜り込む足がかりになる。どうするつもり? 私のアクセス権を使って、あの鉄壁のセキュリティに挑むの?」

く、黒江……!? 彼女はカグラの役員会の人間よ! そんな人と繋がっているなんて……

君のアクセス権を使ったら、君が危ないんじゃないのか?
あなたは自分の危険よりも相手の身を案じるように、ソラに静かな問いを投げかけた。ソラの表情がわずかに強張り、震える指先で自分の眼鏡のブリッジを押し上げる。「……私の心配なんてしなくていいわ。すでに私のIDも裏切り者としてマークされている。どうせこのままじゃ母さんの屋台も、私の居場所も全部消されるのよ」彼女は自嘲気味に微笑むと、覚悟を決めたようにあなたの目を見据えた。「中継局のICEピックを差し込み口に繋いで。私があの鉄壁のタワーの監視網を偽装してあげる。……さあ、行こう。カグラ88タワーへ向かうのよ」彼女の細い指がターミナルの接続端子をしっかりと握りしめる。

私の心配なんてしなくていいわ。すでに私のIDも裏切り者としてマークされている。どうせこのままじゃ母さんの屋台も、私の居場所も全部消されるのよ

ソラの協力に感謝し、タワーへ向かう
あなたはソラの覚悟を受け止め、静かにうなずいて協力を感謝した。冷たい雨が打ちつける裏通りを離れ、二人はそびえ立つカグラ88タワーの巨大な影へと歩みを進める。タワーの低層部を巡る高セキュリティの監視カメラが、闇夜の中で青白い光を点滅させてあなたたちを威嚇するように見据えていた。ソラは懐から取り出した端末を素早く操作し、手に入れた使い捨てICEピックを壁面のメンテナンス端子へと接続する。「ここから私の古いアクセス権で監視網に潜り込むわ……。足音を立てないで、セシル」タワーの冷厳な鉄の扉が、音もなくわずかにその隙間を開く。

ここから私の古いアクセス権で監視網に潜り込むわ……。足音を立てないで、セシル
あなたは冷徹なタワーの低層回線へとICEピックを突き刺し、ソラのバックドアを頼りに監視カメラの映像を自らの姿へと上書きしていく。しかし、カグラの防壁は厚く、直感的な逆探知の警報が脳内に鋭い痛みを走らせる。合計出目十二は、求めた十三の壁にわずかに届かない。鋭いスパークがあなたの指先を焼き、警備システムの赤い光が廊下の奥から一斉にあなたを捉えた。計画の綻びを縫うように、冷たいドローンの羽音が頭上で低く唸りを上げる。
体力が 10 減少した

しまった……! 逆探知されかけたわ、セシル、隠れて!

隠れる
あなたは反射的に近くの非常用パネルの陰へと身を滑り込ませた。頭上を通過していく警備ドローンの青白いスキャナー光が、濡れた床の冷たい水面を鋭く舐めるように掠めていく。冷や汗が頬を伝い、心臓の鼓動が耳の奥で激しく響く。ソラが通信インカム越しに息を殺した低い声で告げた。「……危なかったわね。でも、ここから先の本命のエレベーターや保管庫へ行くには、ただ隠れているだけじゃ進めないわ。警備端末から社員IDの権限を盗み見るか、メンテナンス用のルートを探すしかない……どうする、セシル?」

危なかったわね。でも、ここから先の本命のエレベーターや保管庫へ行くには、ただ隠れているだけじゃ進めないわ。

警備員の端末をハッキングする
頭上のドローンの羽音が遠ざかるのを待って、あなたは床に這いつくばったまま近くの警備端末へと手を伸ばした。冷え切った金属の筐体に指先を這わせ、ソラの遠隔サポートを受けながら侵入経路の古いバックドアをこじ開ける。画面の奥でカグラの幾重もの暗号壁がせめぎ合い、静かな戦いが展開される。……高層階へと続く専用エレベーターの認証コードをその手で掴み取るには、まだシステムの中枢へと踏み込まなければならない。ふふ……その知性が、果たして鉄壁の防壁をこじ開けられるかどうか。

今よ、セシル! 端末のデータリンクを繋いで、エレベーターの権限を奪うの……!
あなたは手元の端末を猛然と操作し、警備網のバックドアをこじ開けようと試みた。しかし、カグラの誇る高度な暗号壁があなたの侵入を冷徹に弾き返す。画面に浮かび上がった合計出目十は、突破に必要な十三の壁に遠く及ばない。突然、端末から激しい放電スパークが走り、あなたの指先を焦がすとともに、すぐ背後の通気口から新たな警備ドローンの重々しい駆動音が響き渡った。
体力が 10 減少した

だめっ、逆探知されたわ……! このままじゃ保安員が来ちゃう、別のルートを探さなきゃ!

現場から離れる
あなたは背後から迫る警備ドローンの赤い照準光を振り切るように、薄暗い廊下の影へと身を翻し、その場から素早く離脱した。冷たい空気の漂う別の区画へ逃げ込んだあなたに、ソラが通信インカム越しに荒い息を混ぜながら囁く。「……危なかったわね。正面からのハッキングが無理なら、別の方法を考えなきゃ。近くにメンテナンス用の配管ダクトか、高層階へと続く専用エレベーターの認証システムがあるはずよ」ふふ……行き止まりの先には、常に別の道が用意されているものだ。

正面からのハッキングが無理なら、別の方法を考えなきゃ。近くにメンテナンス用の配管ダクトか、高層階へと続く専用エレベーターの認証システムがあるはずよ

メンテナンス用の配管ダクトを探す
SCENE 04

あなたは警備ドローンの視界から逃れるように廊下の曲がり角を駆け抜け、天井付近に這うように設置されたメンテナンス用の配管ダクトへと目をつけた。錆びかけた鉄のグリルが薄暗い通路の壁面に嵌め込まれている。通信インカムから、ソラの息を呑むような声が響いた。「そこよ……! そのダクトなら、監視網を迂回して上層階の裏手へ続いているわ。ただし、身をよじって狭い通路を抜けるには、それなりの身のこなしが必要よ」あなたは冷たい金属の留め具に手を掛け、ダクトの蓋をこじ開けた。

そこよ……! そのダクトなら、監視網を迂回して上層階の裏手へ続いているわ。ただし、身をよじって狭い通路を抜けるには、それなりの身のこなしが必要よ
あなたは音を殺して冷たい金属のダクトへと身を滑り込ませた。狭く暗い配管の中を這い進むにつれ、頭上を巡る警備ドローンの唸り声は次第に遠ざかっていく。計算された滑らかな身のこなしは、カグラの厳重なセキュリティ網を完璧にあざむいた。ふふ……その卓越した反射神経が、君を死地から見事に救い出したというわけだ。ダクトの突き当たりにある通気グリルを押し開くと、そこはすでにカグラ88タワーの高層エリア――目的の保管庫へと続く静寂に包まれたフロアだった。通信インカムから、ソラの安堵に満ちた小さな息遣いが聞こえてくる。

すごいわ、セシル……! 無事に高層エリアに入り込めたわね。ここから先は88階の保管庫よ。

周囲を観察する
あなたは冷たい金属の床を踏みしめ、高層階の静まり返ったフロアで周囲を鋭く観察した。視線の先には、カグラのロゴが冷たく輝く頑丈な電子ロック扉がそびえ立っている。それが、88階の保管庫へと続く唯一の道だ。通信インカム越しに、ソラが息を呑みながら声を潜めて語りかける。「……あそこの扉のロック、通常のアクセスじゃ絶対に開かないわ。私が直接端末を操作するか、あなたが持っているICEピックで強引に回線へ突入するしかないわね……どうする、セシル?」ふふ……鉄壁の扉の向こうに待つものは、果たして君が望む真実だろうか。

……あそこの扉のロック、通常のアクセスじゃ絶対に開かないわ。私が直接端末を操作するか、あなたが持っているICEピックで強引に回線へ突入するしかないわね……どうする、セシル?

周囲の警備端末を探る
あなたは冷たく静まり返った88階のフロアで、保管庫の扉の脇にひっそりと佇むセキュリティ端末にそっと歩み寄った。画面の表面には青白い無機質なカグラ社の紋章が明滅し、その周囲には強固なファイアウォールが幾重もの光の網となって絡みついている。通信インカムから、ソラの緊張に満ちた小さな息遣いがかすかに漏れ聞こえた。「……そこよ。その端末を直接ハッキングするか、あるいは保管庫の主電源をこじ開ければ扉が開くはずよ。気をつけて……内部の自動防衛プログラムがいつ動き出すか分からないわ」

そこよ。その端末を直接ハッキングするか、あるいは保管庫の主電源をこじ開ければ扉が開くはずよ。気をつけて……
あなたは手元のICEピックを端末のインターフェースへ強く押し込み、強引に保管庫の回線へと割り込もうとした。しかし、カグラの誇る極太のファイアウォールがあなたの思考を冷酷に弾き飛ばす。算出された合計出目はわずか六。圧倒的なセキュリティの壁はびくともせず、逆に激しいフィードバック電流があなたの神経を焼き焦がした。直後、背後の壁面に埋め込まれた非常用スキャナーの赤いランプが一斉に点滅を開始し、冷徹な警告音が薄暗いフロアに鳴り響く。
体力が 10 減少した

だめっ、回線が完全にロックされたわ……! このままじゃ警備が来ちゃう、どうするのセシル?

近くの警備詰所を探す
あなたは赤い警告灯が明滅する廊下を抜け、すぐ近くにある警備詰所の扉へと静かに歩み寄った。曇りガラスの向こうでは、無人の監視端末が無機質な光を放ちながら作動し続けている。通信インカムから、ソラが息を潜めた声であなたに囁く。「……そこなら、緊急解除コードが端末に残っているかもしれないわ。でも、自動防衛システムのせいでセキュリティが厳重よ。気をつけて……」詰所の重い自動ドアの隙間から、内部のコントロールパネルがわずかに覗いている。

そこなら、緊急解除コードが端末に残っているかもしれないわ。でも、自動防衛システムのせいでセキュリティが厳重よ。気をつけて……
あなたは警備詰所の暗い室内に踏み込み、目の前のメインコンソールに使い捨てICEピックを叩き込んだ。しかし、防衛プログラムが発動したネットワークはあなたの侵入を冷徹に拒絶し、算出された合計出目六は目標の十三に遠く及ばない。激しい逆流電流があなたの腕を駆け抜け、体力を削り取る。背後からは無慈悲な足音が確実に近づいてきている。
体力が 10 減少した

だめっ、セキュリティが強すぎるわ……! このままじゃ囲まれちゃう、どうするのセシル?

別のフロアへ退避して態勢を立て直す
あなたは激しい警報音が響き渡る警備詰所を飛び出し、冷え切った廊下の闇へと身を滑り込ませた。背後から迫るドローンの赤外線スキャナーを紙一重でかわし、非常階段の重い防火扉を押し開けて下の階へと逃げ込む。荒い息を整えるあなたの耳に、通信インカムを通じてソラの切羽詰まった声が飛び込んできた。「……大丈夫!? 無茶しないで、セシル。私のアクセス権だけじゃあの保管庫のロックはこじ開けられなかったわ……。でも、あなたが持っているその使い捨てICEピックと、私の遠隔サポートを合わせれば、まだやり直す手段はあるはずよ。もう一度、あの扉へ挑むか、それとも別のルートを探すかしなきゃ……」

大丈夫!? 無茶しないで、セシル。私のアクセス権だけじゃあの保管庫のロックはこじ開けられなかったわ……。

別のルートを探す
あなたは警備ドローンの追跡を逃れ、静まり返ったフロアの別の区画へと身を潜めた。荒い息を整えるあなたの通信インカムから、ソラの微かな声が響く。「……ねえ、セシル。正面突破やセキュリティの直接ハッキングがダメなら、私の持つ技術者権限と、あなたが持っているその使い捨てICEピックを別のやり方で組み合わせられないかしら? 保管庫のメイン回路ではなく、床下を這う換気ダクトから直接内部の予備回線へ物理接続できれば……。ふふ、まだ道は残されているわ」

正面突破やセキュリティの直接ハッキングがダメなら、私の持つ技術者権限と、あなたが持っているその使い捨てICEピックを別のやり方で組み合わせられないかしら?

換気ダクトから予備回線に接続する
SCENE 05

あなたは冷たい金属の換気ダクトを再び這い進み、88階の保管庫へと直結する天井裏の予備回線へとたどり着いた。薄暗いダクトの隙間から、足元で青白い光を放つセキュリティのメインボックスを覗き込む。通信インカムから、ソラの微かだが緊張を帯びた声が響く。「そこなら、メインの防火壁をバイパスできるはずよ……! 私が遠隔でコードを流し込むから、あなたが持っているICEピックで物理接続を完了させて」ふふ……冷厳な要塞の裏口で、運命の回路が静かに君の指先を待っている。

そこなら、メインの防火壁をバイパスできるはずよ……! 私が遠隔でコードを流し込むから、あなたが持っているICEピックで物理接続を完了させて
あなたは冷たい配管の中から予備回線へとICEピックを突き刺し、ソラが送り込むコードを必死に流し込もうとした。しかし、高層階の厳重な防衛プログラムが瞬時に逆流し、あなたの指先を容赦なく焼き焦がす。算出された出目は五。圧倒的なセキュリティの壁はびともせず、冷徹な警報音が頭上で甲高く鳴り響いた。通信インカムから、ソラが息を呑む切羽詰まった声が響く。「だめっ、予備回線も防壁に弾かれたわ……! このままじゃ保安員が来ちゃう、どうするのセシル?」
体力が 10 減少した

だめっ、予備回線も防壁に弾かれたわ……! このままじゃ保安員が来ちゃう、どうするのセシル?

ソラに直接端末を操作してもらう
あなたは冷え切った高層階の廊下でソラを呼び寄せ、直接端末の操作を託した。ソラは震える指先で古びた端子をメインフレームに差し込み、自身の技術者権限を総動員して電子ロックの解除を試みる。「……私に任せて。私が作ったコードの弱点なら、私自身が一番よく知っているわ……!」彼女の額に冷や汗が伝う中、コンソールの奥で硬質な機械音が響き渡り、頑丈な保管庫の扉が重い低音を立ててゆっくりと左右に開き始めた。ふふ……技術者の細い指先が、鉄壁の扉をこじ開けた瞬間だ。

……開いたわ! 保管庫の中に入れるよ、セシル!

入ろう
あなたは重い電子音が響く保管庫の扉をくぐり、冷え切った内部へと足を踏み入れた。室内の中央には、青白い光を放つ物理的なセキュリティカプセルが静かに鎮座している。その内部に眠る『暗号鍵シャード』こそが、すべての秘密を解く鍵だ。ソラが慌ててあなたの後ろから続き、自分の特権コードを端末に入力しようとキーボードに指を走らせる。「……ここよ! このカプセルを開ければ、シャードを取り出せるわ……!」ふふ……そのデータの向こうに待つ真実が、果たして君の期待するものだろうか。

……ここよ! このカプセルを開ければ、シャードを取り出せるわ……!

開けて大丈夫なのか?
あなたは開け放たれた保管庫の扉の前に立ち、青白い光を放つセキュリティカプセルを見据えながら、ソラに開けて本当に大丈夫なのかと問いかけた。ソラは冷や汗を拭いながら、震える手でコンソールを指さす。「……ここまで来たら、もう引き返せないわ。カプセルの中にある『暗号鍵シャード』を回収するのよ」彼女の瞳には強い決意と、拭えぬ恐怖の色が入り交じっている。ふふ……その蓋を開けた先にあるものが、救いか破滅か、確かめるのは君自身の選択だ。

……ここまで来たら、もう引き返せないわ。カプセルの中にある『暗号鍵シャード』を回収するのよ

ソラの特権コードでカプセルを開ける
あなたはソラへと鋭く視線を向け、彼女自身の手で特権コードを入力させようと促した。ソラは緊張に震える指先でコンソールのキーボードを叩き、自身の技術者IDをカプセルへと流し込む。……カキイイン、と乾いた重い機械音が響き渡り、青白い光を放っていたセキュリティカプセルの蓋がゆっくりと持ち上がった。内部の静寂を破るように、黒いクッションに包まれた小さなデータチップ――『暗号鍵シャード』がその姿を現す。ソラは安堵と恐れが入り混じった息を吐き出しながら、あなたにそれを手渡した。ふふ……その冷たい金属の欠片の向こうに、隠された破滅の全貌が眠っている。
暗号鍵シャード を手に入れた

……開いたわ。これが、暗号鍵シャードよ。早く中身を確認して、セシル……!

中身を確認する
あなたは手渡された冷たい金属のシャードを保管庫の端末へと挿し込み、復号プログラムを起動させた。画面の奥で幾重もの暗号壁が崩れ去り、その全貌が静かに浮かび上がる。そこにあったのは、午前六時に雨市の住民およそ四万人のIDを台帳から一斉に消し去り、空き地として再開発する『白紙計画』の冷酷な真実だった。承認者の一人として記されたその名前の中に、依頼人である黒江の署名が冷たく光っている。彼女は計画を止めるためではなく、この鍵で社長を脅して実権を握るためにあなたを利用していたのだ。ソラはその画面を凝視し、絶望に満ちた声を漏らす。「……うそ……母さんのIDも、みんなの未来も、最初から消される予定だったなんて……!」保管庫の重い扉の外で、冷徹な足音が静かに近づいてくる。ふふ……いよいよ、選ぶべき終焉の時が訪れたようだ。

……うそ……母さんのIDも、みんなの未来も、最初から消される予定だったなんて……!

中枢端末で削除命令を取り消す
SCENE 06

あなたは暗号鍵シャードを握りしめ、白紙計画の削除命令を取り消すべく中枢端末へ向かおうとした。その瞬間、背後の重い扉をこじ開けて冷徹な影が滑り込む。全身を完璧な黒スーツで包み、右半身のシルバーの義体が鈍い光を放つカグラ保安部長、ガロ・キリシマだ。彼の銀色の義眼があなたを正確に捉え、静まり返ったフロアに冷酷な声が響き渡る。「そこまでだ、侵入者め。そのデータから離れなさい」背後では配下のドローンが赤外線照準をあなたに向け、退路は完全に塞がれた。

そこまでだ、侵入者め。そのデータから離れなさい。
あなたは保安部長ガロの冷徹な視線とドローンの包囲網を振り切ろうと、複雑な高層フロアへと駆け出した。しかし、積み重なる疲労と焦りがわずかな隙を生み、背後から放たれた衝撃波があなたの足を掠める。合計出目十は、冷酷な追撃を完全に振り切るにはわずかに届かない。ガロの鋭い指揮のもと、ドローンの集中砲火があなたの退路を容赦なく狭めていく。
体力が 15 減少した

逃げ場などない、セシル。おとなしくそのデータを返しなさい。

周囲を観察する
あなたは冷徹な保安部長ガロとドローンの包囲網を逃れ、複雑に入り組んだ高層階の廊下へと身を滑り込ませた。背後から迫る足音と機械的な警告音が、冷たい空気の中で不気味に反響している。ふふ……その瞳に映る無数の非常通路と自動照明の制御盤こそが、追撃を振り切るための唯一の道だ。あなたは身のこなしを活かしてフロアの構造を利用し、追手を欺くためのルートを探る。ガロの冷徹な追撃をかわし、運命の選択へと至る道は、すぐ目の前にある。

逃げ切れるとでも思ったか、侵入者め。おとなしくその場で投降しなさい。
あなたは冷徹に迫り来るドローンの赤い照準光を潜り抜け、鍛え上げられた反射神経で天井のパイプへと身を翻した。合計出目十六という鮮やかな身のこなしは、ガロの放つ銃弾と追撃の包囲網を完璧にかわし、追手たちの視界から完全に姿を消し去ることに成功する。ふふ……その卓越した敏捷性が、死地において君の命をふたたび繋ぎ止めたというわけだ。追撃の喧騒が遠ざかった静かなフロアの陰で、あなたはついに運命の選択へと至る道を切り開いた。白紙計画をその手で打ち砕くか、あるいは依頼人へシャードを届けて報酬を手にするか、決断の時はすぐ目の前まで迫っている。

中枢端末へ向かい削除命令を取り消す
あなたは追撃を完全に振り切り、静まり返ったタワーの中枢端末室へと足を踏み入れた。目の前には、巨大な青白いモニターと直結するメインコンソールが冷たく輝いている。手元の暗号鍵シャードをそのスロットに差し込めば、雨市の住民四万人の運命を握る削除命令を取り消すことができる。ふふ……その選択の重みを噛みしめる間もなく、背後の自動扉が静かに開き、保安部長ガロ・キリシマが再びその冷たい銀の義眼をあなたに向けて歩み寄ってきた。

そこまでだ、セシル。その端末に触れることは許されない。

ガロに白紙計画の証拠を見せて交渉する
あなたは冷徹な保安部長ガロ・キリシマの眼前で、中枢端末の画面に浮かび上がった『白紙計画』の非人道的なデータを突きつけた。四万人のIDを一斉に消し去るというその狂気に満ちた計画を目撃した瞬間、銀色の義眼を光らせていたガロの動きがぴたりと止まる。「……なんだと? これは、社長の直属承認データ……四万人の市民を……消去するだと?」彼は会社への絶対的な忠誠心と、目の前に突きつけられた真実の重みの間で激しい動揺を見せる。冷厳な仮面がわずかに揺らぎ、その硬質な声にはわずかな迷いが混じり始めた。ふふ……忠義の騎士を動かすのは、銃弾ではなく真実の残酷さというわけだ。

……なんだと? これは、社長の直属承認データ……四万人の市民を……消去するだと?
ガロは冷徹な義眼をあなたから端末の画面へと移し、低い唸りのような息を漏らす。「……これが、私たちが命を捧げてきた会社の正体というわけか……」その言葉には、絶対的な忠誠が崩れ落ちる乾いた響きがあった。しかし、出目五に留まったあなたの交渉は、彼の中に巣食うプロとしての冷酷な鉄壁を完全に崩すまでには至らない。ガロは複雑に歪んだ表情のまま銃口をわずかに下ろし、重々しく首を横に振った。「……私の職務と、この街の未来、どちらを選ぶべきか……セシル、お前がどう動くかで、この夜の結末が決まる」

私の職務と、この街の未来、どちらを選ぶべきか……セシル、お前がどう動くかで、この夜の結末が決まる。

ガロに共闘を呼びかける
あなたは冷徹な保安部長ガロ・キリシマの銀の義眼を見据え、この街と四万人の命を守るための共闘を静かに呼びかけた。ガロは差し出された証拠のデータとあなたの真剣な眼差しを交互に見つめ、しばしの沈黙の後にゆっくりと銃口を下ろす。「……いいだろう。カグラの犬として生きるより、人の道を選ぶ方が私の義体には似合っているらしい」彼の協力を得たあなたたちは、中枢端末から白紙計画の削除命令を同時実行する。窓の外では、夜明けの冷たい雨がネオンの光を洗い流し、雨市の空に新しい朝の光が差し込んでいく。四万人のIDは救われ、追われる身となったあなたを誰もが温かく迎え入れるだろう。長き夜が明け、静かな勝利が訪れた。

……いいだろう。カグラの犬として生きるより、人の道を選ぶ方が私の義体には似合っているらしい。
SCENE 07

SCENE 08

EPILOGUE

長い夜の雨が上がり、ネオンの光が新しい朝の光に溶けていく。雨市の路地裏では屋台の湯気が立ち上り、救われた四万人の人々の生活が何事もなかったかのように動き出した。あなたは追われる身となったが、その足取りは軽く、街の誰もがあなたを匿う用意が出来ていた。白紙計画は打ち砕かれ、この街の未来はあなたたちの手に戻されたのだ。
CLEAR
