運命の歯車が静かに回り始めた。頭上には冷たい満月が青白い光を投げかけ、漆黒の夜空を舞うコウモリの群れが不気味な影を落としている。立ちこめる濃い霧の向こうには、赤煉瓦の古い洋館、マーロウ邸が尖った塔と割れた窓を晒してそびえ立っていた。足元では湿った落ち葉が重なり、どこか土と古びた蝋の混じった澱んだ匂いが鼻をつく。錆びついた鉄の門の前に立つあなたの肌を、底冷えする夜風が撫でていく。四十年前、一家が姿を消して以来「塔に白い女が出る」と恐れられてきたこの禁足地に、今夕、ひとりの少年トミーが迷い込んだという。あなたは行方の分からない少年を連れ戻すため、重い足取りでこの呪われた屋敷の敷居をまたごうとしていた。ふと、あなたの背後から、擦れた声が静寂を切り裂いた。「おや、若いの。こんな夜にここへ来るとは、命知らずにもほどがあるな……」古びたトレンチコートを纏った老いた元新聞記者、アーサー・ペンドルトンが鋭い眼光をあなたに向け、使い古した木製の杖を突いた。「あの館には近づくなと言ったはずだ。だが……行ってしまったあの少年の怯えた顔が頭から離れん。これを持っていけ。気休めにはなるはずだ」彼はそう呟くと、冷え切った手に薬草茶の小瓶をそっと押し付けてきた。そのとき、誰一人触れていないはずの重厚な玄関の扉が、軋むような音を立ててひとりでに重く開いていく。闇をたたえた漆黒の内部から、冷たい風があなたを招くように吹き抜けた。運命の選択の時は今、訪れたのだ。

おや、若いの。こんな夜にここへ来るとは、命知らずにもほどがあるな……あの館には近づくなと言ったはずだ。だが、行ってしまったあの少年の怯えた顔が頭から離れん。これを持っていけ。気休めにはなるはずだ。

同行しているアーサーに詳しく話を聞く
SCENE 01

あなたは古いトレンチコートを纏った元新聞記者アーサーに向き直り、彼の経験とこの洋館についてさらに詳しく語るよう促した。アーサーは古びた眼鏡の位置を直し、低く重みのある声でぽつりぽつりと話し始める。「……四十年前だよ。あのマーロウ家の一家が忽然と姿を消した夜、最初にこの屋敷に入ったのは私だった。当時はね、主人の借金逃れの夜逃げだなんて噂もあったが、どうも腑に落ちない点があったのさ。家の中はまるで、ついさっきまで人がいたかのように温かかったからね……。そして、あの当時、この屋敷には若い女中が一人雇われていたはずだ。だが、警察の調べではその姿はどこにもなかった。管理人として居座っているあの執事のオヤジ、ガーランドの奴め、何か隠しているのは間違いないさ」アーサーはそこまで言うと、痛む膝を押さえながら遠くの尖った塔を見据えた。「私があの中に入れないのがもどかしいがね……若いの、気をつけて進むんだ。あの館の扉は、招かれざる者をも引き込む魔力がある」彼の言葉が胸に重く響く中、あなたはひとりでに開いたままの重厚な玄関ホールへと足を踏み入れた。足元には冷たい埃がうずたかく積もり、その表面には誰のものとも知れぬ小さな靴跡が痛々しく刻まれている。階段のふもとには、トミーのものと思われる小さな帽子がぽつんと落とされていた。その横には、なぜか足跡のないまま埃だけが綺麗に払い落とされた奇妙な跡が、二階の踊り場へと続いている。見えない何かが、あの少年の小さな手を引いて歩いていたかのように……。

四十年前の一家失踪の夜、最初にこの屋敷に入ったのは私だった……。あの当時、この屋敷には若い女中が一人雇われていたはずだ。管理人として居座っているガーランドの奴め、何か隠しているのは間違いないさ。

あなたはなぜここに?
あなたは、なぜこの老人があえて呪われた洋館の門前に留まり続けるのか、その理由を静かに問いかけた。アーサーは片手に持った木製の杖を強く握りしめ、曇り眼鏡の奥にある鋭い眼光をあなたに向けた。「なぜ、だと?……若いの、私は四十年前のあの夜、この屋敷の異変を最初に記事にしようとした男だ。だが、当時の警察も村の者も、私の声を封じ込めた。門の外に立ち尽くし、ただ恐怖に震えることしかできなかった無力感が、この老いぼれの胸に四十年間も突き刺さったままなのさ。私はね、あの夜の真実を見届けるまでは、この足で一歩も引くわけにはいかないのだよ」彼は自らの痛む膝を軽く叩き、遠くの尖った塔を見上げた。彼の言葉には、単なる好奇心ではない、記者としての強い執念と後悔の色が滲み出ていた。あなたがその覚悟を受け止めたとき、背後の重い玄関ホールから、まるであなたたちの会話を聞き届けるかのように、冷たい風がふわりと吹き抜けた。埃の積もる床の上で、三時十分で止まった大時計の針が、かすかに震えたような気がした。

私はね、あの夜の真実を見届けるまでは、この足で一歩も引くわけにはいかないのだよ。あの夜の真実を見つけ出してくれ、若いの。

三時十分で止まった大時計を観察する
あなたは開け放たれた玄関ホールに足を踏み入れ、重厚な音を立てて止まっている古い大時計へと歩み寄った。文字盤の針は、まるで時間が凍りついたかのように「三時十分」を指したまま動かない。そのガラス面にはあなたの青白い顔が映り込み、背後から吹き抜ける冷気が首筋を撫でる。ふと、時計の木枠の隙間に微かな埃の偏りを見つけた。それは時計の内部へと続く隠された仕掛けを示しているのだろうか。あなたがその謎に意識を集中させたとき、足元の床板がかすかにきしんだ。
あなたは古い大時計の木枠や床の埃に注意深く意識を向けた。研ぎ澄まされた判断力が、闇に隠された微細な異変をあなたに見せつける。ダイスが示した運命の数字は、この薄暗いホールで確かな真実を照らし出した。大時計の足元に積もった厚い埃のなか、ただ一筋だけ、誰かの小さな靴跡が階段の方へと明確に続いている。その先、埃だけが不自然に払い落とされた階段のふもとに、トミーのものと思われる小さな帽子がぽつんと取り残されていた。見えない何かが、あの少年の小さな手を引いて二階の踊り場へと上がっていったのだ。あなたは冷たい空気が渦巻く中、確かな手がかりをその目に焼き付けた。

二階の踊り場へ行く
あなたは埃の積もる階段を静かに上り、二階の踊り場へと足を踏み入れた。廊下の空気は一層冷たく重く淀んでおり、あなたの吐く息が白く凍てつく。目の前にはいくつかの古い扉が並んでいるが、どれも固く閉ざされ、重厚な錠が下ろされているようだ。そのうちの一つ、食堂へと続く扉の隙間から、まるで四十年前の晩餐の残り香のような、冷えた蝋と古い調度品の匂いがかすかに漏れ出ている。ふと、あなたの背後で、同行していた十代のきょうだい・レオが小さく肩を震わせた。「ねえ、セシル……なんだか、こっちを見られている気がするんだ」彼の言葉通り、閉ざされた食堂の扉の向こうから、人の気配ではない何者かの視線があなたたちを射貫いているかのようなプレッシャーが肌を刺した。

ねえ、セシル……んだか、こっちを見られている気がするんだ。早く中を調べようよ……。

靴跡を探してみる
あなたは二階の踊り場から、さらに食堂へと続く床に目を凝らした。埃の積もる板の上には、先ほど見つけた小さな靴跡に混じり、真新しい泥の足跡が奥の食堂へと続いている。同行しているレオが不安そうにあなたの裾を引いた。「ねえセシル、この足跡……なんだかさっきよりはっきりしてないか?」食堂の重厚な両開き扉の隙間からは、冷たい隙間風とともに、四十年前の晩餐の残り香のような澱んだ空気が漂ってくる。あなたは足跡を辿り、静かに食堂の扉へと手をかけた。

ねえセシル、この足跡……なんだかさっきよりはっきりしてないか? 中に入るの、なんだか嫌な予感がするよ。

足跡の大きさをさらに詳しく調べる
SCENE 02

あなたは冷たい埃がうずたかく積もる廊下にしゃがみ込み、床に残された靴跡に意識を集中させた。鋭い知性と判断力をもって詳細に観察すると、その足跡は確かに大人のものよりはるか小さく、十歳前後の子どもの足のサイズに一致することがわかる。しかし、奇妙なことに、その輪郭はまるで地面にしっかりと踏みしめられたものではなく、淡い霧のようにぼんやりと浮かび上がっていた。同行するレオが不安げにあなたの背後を覗き込み、「やっぱり、トミーのものに間違いないよ……ねえ、セシル、この足跡の先、食堂の扉の隙間へ続いているみたいだ」と小声で囁いた。開け放たれた重厚な食堂の扉の奥からは、四十年前の晩餐の残り香のような冷えた空気と、言いようのない気配が静かに漂ってくる。

やっぱり、トミーのものに間違いないよ……ねえ、セシル、この足跡の先、食堂の扉の隙間へ続いているみたいだ。

隙間を調べtメイル
あなたは食堂の重厚な両開き扉のわずかな隙間にそっと目を凝らした。ひやりとした澱んだ空気が漏れ出すその暗がりの中には、四十年前の晩餐のまま時が止まった長テーブルと、三つ分の食器が寂しく並んでいるのがうかがえる。背後では同行するレオが息を潜めてあなたの様子を見守っていた。妙な気配が肌を撫でる中、あなたはこの古びた食堂へと踏み出す決意を固める。

うわ、なんだか冷たい風が……本当に中に入るの?気をつけてよ、セシル。

入る前に武器を探してみる
あなたは開け放たれた食堂の扉を前にして、ふと足を止め、周辺に何か身を守るための道具や武器となりそうなものがないか探し始めた。冷たい埃の積もる廊下の脇、かつて装飾用の花台だった木箱の陰に、古い燭台が転がっているのを見つける。ずっしりと手応えのある真鍮製のそれを手に取ると、鈍く冷たい金属の質感が掌に伝わってきた。同行するレオが不安げにあなたの手元を見つめ、「それがあれば、もし何か出ても……少しは安心だな」と小さく呟く。心細さを紛らわせるように深く息を吸い込むと、これから足を踏み入れる開かずの間への覚悟が固まった。
真鍮の燭台 を手に入れた

それがあれば、もし何か出ても……少しは安心だな。準備ができたら、中へ入ろうよ、セシル。

中へ入る
あなたは真鍮製の燭台をしっかりと握りしめ、冷たい空気が漂う食堂の重厚な扉を押し開けた。足を踏み入れた瞬間、四十年前の晩餐の席がそのまま凍りついたかのような光景が目に飛び込んでくる。長テーブルの上には三つ分の食器が埃をかぶって寂しく並び、壁際の古い食器棚からは淀んだ気配が漂っていた。同行したレオがあなたの背後にぴったりと寄り添い、凍えるような手であなたの服の裾を小さく掴む。「ねえ、セシル……この部屋、なんだかすごく冷えるよ。それに、あっちの奥にある書斎のほうから、かすかに紙が擦れるような音がしたんだ……」食堂を抜けた先にある書斎の扉が、まるであなたたちを誘うかのように、わずかに開かれているのが見えた。

ねえ、セシル……この部屋、なんだかすごく冷えるよ。それに、あっちの奥にある書斎のほうから、かすかに紙が擦れるような音がしたんだ……

食堂のテーブルの上を調べる
あなたは冷えた真鍮の燭台を手に、埃をかぶった食堂の長テーブルへと歩み寄った。そこには四十年前の夜から時が止まったかのように、銀製の食器が三人分、綺麗に並べられたままになっている。しかし、奇妙なことに中央の皿の上だけには分厚い埃がなく、まるで直前まで誰かが触れていたかのような生々しい痕跡が残されていた。ふと、同行しているレオがテーブルの隅にある小さなメモ書きを見つけ、青ざめた顔であなたを呼んだ。「ねえ、セシル……これ、見てよ。古い手帳の切れ端みたいなものが落ちてる……」その向こう、食堂のさらに奥へと続く書斎の重い扉が、冷たい風に煽られるようにわずかにきしんでいる。

ねえ、セシル……これ、見てよ。古い手帳の切れ端みたいなものが落ちてる……なんだか、まだ誰かがこの屋敷にいるみたいで怖いよ。

テーブルの上の手帳の切れ端を拾い上げる
あなたは埃にまみれた長テーブルに歩み寄り、中央の皿の脇にぽつんと置かれた古びた手帳の切れ端をそっと拾い上げた。黄ばんだ紙片には、乱れた筆跡で何やら文字が書き付けられている。手元に掲げて目を凝らすと、そこには「……九時、熱の下がらぬルーシーに薬草茶を……」という一節が微かに残されていた。四十年前の夜、一家が姿を消す直前まで誰かがここにいたという確かな証拠が、冷たい紙片を通じてあなたの掌に伝わってくる。同行しているレオがその文字をのぞき込み、青白い顔で小さく息を呑んだ。「ねえ、セシル……これ、あの屋敷の誰かの日記の切れ端かな? 奥の書斎のほうから、まだ何かが見つかりそうだよ」食堂の奥に続く重い扉の向こうで、埃を含んだ古い空気の波が、あなたたちをさらに深い謎へと手招きしている。

ねえ、セシル……これ、あの屋敷の誰かの日記の切れ端かな? 奥の書斎のほうから、まだ何かが見つかりそうだよ。

書斎の扉を開けて中を調べる
SCENE 03

あなたは手元の真鍮の燭台の明かりを頼りに、食堂の奥に続く書斎の重い扉をそっと押し開けた。きい、と乾いた蝶番の音が静寂を切り裂き、あなたの視界に分厚い埃をかぶったマホガニーの机と、幾筋もの光が差し込む重々しい書棚が飛び込んでくる。空気には古い羊皮紙とインクの乾燥した匂いが混じり合い、四十年前の時間がそのまま閉じ込められているかのような静けさが漂っていた。机の上には開かれたままの看病帳があり、その引き出しは固く閉ざされている。同行するレオがあなたの後ろからそっと部屋を覗き込み、「ねえ、セシル……あの引き出しのあたりから、なんだか冷たい風が漏れてくるよ」と小さく震えた声で囁いた。

ねえ、セシル……あの引き出しのあたりから、なんだか冷たい風が漏れてくるよ。

開かれた看病帳を読む
あなたは机の上に開かれたまま放置されている古い看病帳へと歩み寄り、その黄ばんだページに視線を落とした。埃を払い、揺らめく燭台の光を頼りに文字を追っていく。インクはところどころでにじみ、四十年の歳月の重みを感じさせるが、最後の欄に記された日付の文字だけは奇妙に生々しく残されていた。『失踪の夜、九時。熱の続くルーシーに柳の樹皮の煎じ茶を飲ませる』——その記録は、かつて一家が姿を消したとされるその晩、若い女中ルーシーが確かにこの屋敷の中に生きていた動かぬ証拠だった。背後でレオが息を呑む音が聞こえ、書斎の冷気が一層あなたたちの肌を刺す。隣にある引き出しには頑丈な錠が下ろされており、その中にもさらなる真実が眠っているはずだ。

ねえセシル……やっぱり、あの夜に誰かがここに残されてたんだ。じゃあ、あの噂の白い女って……もしかしてそのルーシーって人なのかな?

レオと一緒に机の周りを捜索する
あなたは同行している少年レオに合図を送り、マホガニーの重々しい机の周りを丹念に捜索し始めた。埃にまみれた足元を探っていたレオが、ふと机の側面にある不自然な隙間に気づき、「セシル、ここ……板が少し浮いてるよ!」と声を上げる。あなたはその隙間に指先をかけ、頑丈な構造を確かめながら慎重に引き寄せた。すると、密かに隠されていた小さな隠し引き出しが音もなく姿を現した。その中には、四十年前の主人の直筆による書き置きと、三人分の船の切符の控えが大切そうに収められていた。
主人の書き置き を手に入れた

セシル、ここ……机の側面、板が少し浮いてるよ!何か隠されてるんじゃないかな?

書き置きを読んでみる
あなたは先ほど隠し引き出しから手に入れた「主人の書き置き」をそっと広げ、揺らめく燭台の明かりにかざした。古びた羊皮紙の上には、焦るような筆跡でこう記されている。『ルーシーを村の母親のもとへ送り、給金を渡すように。頼んだぞ』。四十年前の主人の直筆であるその文字は、一家が夜逃けの際に彼女を見捨てる気などなかったという事実を明確に物語っていた。しかし、その書き置きが本当にルーシーへと渡されたのかどうかは、この書斎のどこにも記されていない。同行するレオがあなたの肩越しにその文字を覗き込み、「これ……主人はちゃんとルーシーのことを考えてたんだね。じゃあ、なんであの子はあんなに怯えてるんだろ」と小さく呟いた。書斎の重い空気を背に、あなたたちは使用人の区画へと通じる薄暗い廊下へと足を踏み出す。

これ……主人はちゃんとルーシーのことを考えてたんだね。じゃあ、なんであの子はあんなに怯えてるんだろ。

引き出しをさらに調べてみる
あなたは書斎の机に戻り、先ほどまで見落としていた頑丈な引き出しの隅や裏側をさらに指先で丁寧に探った。古い木目をなぞるうち、微かなクリック音とともに引き出しの底板がわずかに浮き上がる。そこには、封をされた一枚の古い名簿と、鍵の掛けられた小さな棚のありかを示す使用人区画の案内図が収められていた。その名簿を広げた瞬間、書斎の空気が一瞬だけ凍りつき、背後で同行しているレオが小さく息を呑むのが聞こえた。使用人の区画へ続く通路の奥から、乾いた冷気とともに、かすかな真鍮の呼び鈴の音がチリンと響き渡った。

ねえセシル、今の音……使用人区画の方から聞こえなかった?なんだか、誰かが呼んでるみたいだ……

見つけた名簿と案内図を確認する
あなたは書斎の机の脇に戻り、先ほど引き出しの底から手に入れた古い名簿と使用人区画の案内図をそっと広げた。揺らめく真鍮の燭台の明かりに照らされた黄ばんだ紙面には、かつてこの洋館で働いていた者たちの名が整然と並んでいる。その中の一ページ、ひときわ丁寧に記された項目に、あなたはふと目を留めた。『ルーシー — 女中 — 十六歳』。その文字の傍らには、微かにインクがにじんだ赤い線で、使用人区画の奥にある塔へと続くルートが示されていた。四十年前の夜、彼女がこの区画のどこで何をしていたのか、その一片が鮮やかに浮かび上がる。ふと、案内図に描かれた『塔上』の鍵の保管場所を示す印の脇に、見覚えのない新しい血のようなインクの汚れがついていることに気づく。名簿から顔を上げると、書斎の外に続く使用人ホールの闇のなかで、まるで誰かがあなたの手元を覗き込んでいるかのような、冷徹な気配がかすかに漂った。

同行するレオに名簿の記録を見せる
SCENE 04

あなたは手元に広げた古い使用人名簿の『ルーシー』という名を指し示し、隣で息を潜めていたレオに見せた。レオは震える手でその文字を凝視し、小さく息を呑む。「ルーシー……やっぱり、この人が……。ねえセシル、名簿に書いてあるこのルート、使用人区画の奥にある鈴の鳴る場所へ続いてるよ。行ってみようよ……」彼の言葉と呼応するように、廊下の暗がりから微かな真鍮の呼び鈴の響きが再び耳をかすめた。あなたたちは名簿を手に、使用人区画へと続く冷たい闇の中へ踏み出した。

ルーシー……やっぱり、この人が……。ねえセシル、名簿に書いてあるこのルート、使用人区画の奥にある鈴の鳴る場所へ続いてるよ。行ってみようよ……

名簿を頼りに使用人ホールへ進む
あなたは古い名簿に記されたルートを頼りに、書斎の重い扉を抜けて使用人ホールへと足を踏み入れた。周囲の壁には無数の真鍮製の呼び鈴が並ぶ呼び鈴盤が取り付けられており、その中の一枚だけが今も小刻みに震え、金属音を立て続けている。錆び付いた盤から響く異様な振動は、まるで何者かが内側から必死に助けを求めているかのようだ。同行するレオがその音に怯え、あなたの腕をぎゅっと掴んだ。「ねえ、セシル……あの震えてる鈴、名簿にあった塔の部屋のものじゃないかな……」冷たい空気が吹き抜ける薄暗いホールで、あなたはその呼び鈴の盤に近づいていく。

使用人名簿と呼び鈴盤を照らし合わせる
あなたは手元にある古い使用人名簿を開き、壁一面に並ぶ呼び鈴盤へと歩み寄った。黄ばんだ紙面に記された居住区の配置と、今も小刻みに震え続ける真鍮のワイヤーを一つずつ慎重に照らし合わせていく。名簿の記録によれば、あの激しく鳴り響いている鈴の配線は、使用人区画の奥、かつて若き女中ルーシーが使っていたという屋根裏部屋へと直結していた。その確かな繋がりを確認した瞬間、背後で同行しているレオが息を呑み、不安げにあなたの服の裾を引いた。「ねえ、セシル……やっぱり、あの鈴の音が呼んでるんだよ。その先の部屋へ行こう……」その言葉に背中を押されるように、あなたは呼び鈴盤の脇に位置する女中頭の執務机へと視線を向けた。山積みの古い書類の隙間に、目的のものが隠されているかもしれない。

ねえ、セシル……やっぱり、あの鈴の音が呼んでるんだよ。その先の部屋へ行こう……

女中頭の机を詳しく調べる
あなたは古い名簿を手に、薄暗い使用人ホールの一角にある女中頭の執務机へと歩み寄った。そこには四十年前からそのまま放置されたかのように、埃をかぶった帳簿や古びたインク壺、黄ばんだ書類の束が無造作に山積みされている。手元の真鍮の燭台の明かりを頼りに、その雑多な書類の山を一枚ずつ慎重に脇へと退けていく。すると、山積みの書類の底から、冷たい金属の鈍い輝きを放つ真鍮の呼び鈴が姿を現した。あなたがそれをそっと手に取ると、鈴の表面には奇妙な冷気が宿っており、わずかに振るだけで澄んだ金属音が静まり返ったホールに響き渡った。背後で同行しているレオがその音にハッとし、「それって、もしかして……!」と声を漏らす。そのとき、背後の暗がりから、重く引きずるような足音と、ジャラジャラと不気味に響く鍵束の音が近づいてきた。
これ以上アイテムを持てません。真鍮の呼び鈴 を受け取れませんでした。

隠れて様子を見る
あなたは近づいてくる重い足音とジャラジャラと鳴る鍵束の気配を察知し、素早く近くの柱の陰へと身を潜めた。手に握った真鍮の燭台の明かりを消し、息を殺して闇に溶け込む。やがて、埃の舞う廊下に黒ずんだ執事服をまとった痩せこけた男が姿を現した。かつての執事であり、今は管理人を務めるガーランド・グレイだ。彼の生気のない瞳は鋭く周囲を巡り、まるで侵入者の気配を嗅ぎ取るかのようにその場でピタリと足を止めた。「……誰かおるのか? この館に迷い込むなど、愚かなことだ……」彼は冷徹な呟きを漏らしながら、ジャラジャラと鈍い音を立てる鍵束をその手で固く握りしめた。息を潜めるあなたの隣で、レオが恐怖に震えながら小さく身を縮こまらせている。

……誰かおるのか? この館に迷い込むなど、愚かなことだ。すぐにここから立ち去るんだな。

管理人に声をかけて真意をただす
あなたは柱の陰から一歩踏み出し、管理人ガーランド・グレイの背中へと声をかけた。「待て。あなたはこの屋敷で何が起きたのか、本当のことを知っているはずだ」ガーランドはぴくりと肩を震わせ、ゆっくりと振り返った。その生気のない瞳には、侵入者に対する怒りというよりも、長年隠し続けてきた暗い秘密を暴かれることへの底知れない恐怖が浮かんでいた。「……何だと? ガキの使いか、それともただの物好きか知らんが、これ以上ここに踏み込むことは許さん。ここは呪われた館だ、お前たちも命を落としたくなければ今すぐ消え失せろ!」彼は腰から下げたジャラジャラと鳴る鍵束を強く握りしめ、あなたを威圧するように一歩踏み出した。その拒絶する態度の裏で、彼の指先がわずかに震えているのが見える。彼は四十年前の真実を知りながら、何者かから、あるいは自らの罪から目を背け続けてきたのだ。同行するレオがあなたの服の裾をぎゅっと掴みながら、管理人をじっと見据えている。

これ以上ここに踏み込むことは許さん。ここは呪われた館だ、お前たちも命を落としたくなければ今すぐ消え失せろ!

ちょっと待ってください。子供を探しに来ただけなんです
SCENE 05

あなたは立ちふさがる管理人ガーランドを見据え、子供を探しに来ただけなのだと静かに、しかし毅然とした声で告げた。ガーランドはその言葉にわずかに表情を歪め、ジャラジャラと鈍く鳴る鍵束を握りしめたまま、苦悩に満ちた視線を宙にさまよわせる。「……探しに来た、だと? ここに迷い込む者は皆、二度と戻れぬ呪いにとり憑かれるのだ。ガキの命が惜しければ、今すぐここから立ち去るんだな……」彼の声には、追い詰められた老人特有の怯えと、何かを必死に隠そうとする強い執念が滲んでいた。あなたが臆することなく一歩近づくと、廊下の奥から再び、冷たい風とともにかすかな鈴の音が響き渡り、塔へと続く扉の隙間がまるで招くようにひとりでにわずかに開いた。

探しに来た、だと? ここに迷い込む者は皆、二度と戻れぬ呪いにとり憑かれるのだ。ガキの命が惜しければ、今すぐここから立ち去るんだな……!

主人の書き置きを管理人に見せる
あなたは管理人ガーランドの威圧的な視線を受け止めながら、衣類のポケットから「主人の書き置き」を取り出し、その古びた羊皮紙を彼の目の前にそっと差し出した。ガーランドは差し出された文字に目を落とした瞬間、まるで雷に打たれたかのように激しく全身を震わせ、その場に崩れ落ちそうになった。「……なっ、これは……主人の、直筆……?」彼の顔から血の気がサーッと引いていき、四十年の長きにわたって胸の奥底に封じ込めてきた罪の意識が、その老いた身体を打ちのめしていく。ジャラジャラと鳴っていた鍵束を握りしめたまま、彼は頭を抱え、掠れた声で呟いた。「私は……間違っていなかったはずだ。だが、あの夜からずっと……あの扉の向こうからの鈴の音が、私の耳から離れなかった……!」管理人の動揺はピークに達し、長年の呪縛が音を立てて崩れ始めていた。開かれた塔への道が、あなたたちを静かに待っている。

これは……主人の直筆……? 私はただ、あの夜の秘密を守ろうとしただけだ……!

管理人に当時の真実を問い詰める
あなたは目の前で崩れ落ちそうになっている管理人ガーランドを見据え、四十年前の夜に何があったのか、その真実を厳しく問い詰めた。「隠し立てはもうできない。あの書き置きが何を意味しているのか、あなた自身が一番よく分かっているはずだ」ガーランドは血の気を失った青白い顔を上げ、震える両手で腰の鍵束を強く握りしめた。彼の瞳に浮かぶのは、長年抱え続けてきた絶望と、逃れられない罪の重さそのものだった。「……私ではない……いや、私がしたのだ……!」彼は掠れた声で叫び声を上げ、その場に膝をついた。

……私ではない……いや、私がしたのだ……!あの夜、彼女が銀器を持ち出そうとしているのを見た。だから私は……扉に鍵をかけ、誰にも開けぬよう箪笥で塞いだのだ……!

閉じ込めたのですか?
あなたは崩れ落ちた管理人の肩越しに、忌まわしい塔へと続く暗い廊下を見据えながら問いかけた。「あなたが彼女をそこに閉じ込めたのですか?」ガーランドは震える手で顔を覆い、しゃがみ込んだまま絞り出すような声で答えた。「……そうだ。あの夜、私は逃げ支度をする主人たちの目を盗み、銀器を隠し持とうとした。それをあの子に見られてしまったのだ。私は怖かった……泥棒として追い出されるのが、すべてを失うのが……だから、熱を出して屋根裏で眠っていたあの子の部屋に鍵をかけ、大きな衣装箪笥で入口を塞いだ。そのまま誰も近寄らせなかった……あの子がどうなったかも知らぬまま……」老人の嗚咽が冷たい廊下に虚しく反響する。四十年の重荷がようやく剥がれ落ちたその足元で、腰に下がっていたジャラジャラとした鍵束が鈍い音を立てた。その瞬間、奥の塔の方向から、これまでとは違う澄んだ真鍮の呼び鈴の音が静かに響き渡る。塔へと続く道が、いま完全に開かれたのだ。同行するレオが青ざめた顔であなたを見上げ、「セシル……いよいよ、あの中へ行くんだね」と固唾をのんだ。

……そうだ。あの夜、あの子が銀器を持つのを見て……怖くなって扉に鍵をかけ、箪笥で塞いだ。私は罪を……!

一緒に確認に行きましょう
あなたは管理人の肩にそっと手を置き、罪に打ちひしがれる老人に静かに語りかけた。「一緒に来てほしい。あなたのその手で、真実を確かめるんだ」ガーランドは血の気を失った顔を上げ、震える手で腰の鍵束を掴んだまま、ゆっくりとあなたにうなずいた。管理人を伴い、あなたとレオはついに二階の奥、塔へと続く開かれた扉をくぐり抜ける。足元から冷気が吹き抜ける廊下は霜に覆われ、壁のあちこちに白い文字が浮かび上がっていた。その突き当たりにある塔の小部屋へ足を踏み入れると、ひときわ重々しい空気のなかに、古びた大きな衣装箪笥が鎮座している。その裏側から、か細く幼い泣き声と、かすかな鈴の音が響いていた。いよいよ、隠された真実と少年の待つ場所へたどり着いたのだ。

……あぁ、私も一緒に行こう。私の手で……あの扉を開けねばならんのだ。

隠し扉の向こうに声をかける
あなたは管理人ガーランドを伴い、凍てつく塔の二階の小部屋へと足を踏み入れた。目の前には古びた大きな衣装箪笥が重々しくそびえ立ち、その裏側からか細い子どもの泣き声と、かすかな鈴の音が漏れ聞こえている。あなたは冷気に震える喉を潤し、隠し扉の向こうに向けて優しく声をかけた。「トミー、そこにいるんだろう? しっかりするんだ、今すぐ出してあげるからね」その呼びかけに呼応するように、裏側からトミーの心細げな返事が返ってきた。だが、衣装箪笥は無垢の木でできており、床に固着したようにびくともしない。ガーランドが震える手で鍵束を差し出したが、どれもあの隠し扉の鍵には合わないようだ。あなたはこの重い箪笥をどかすため、自らの筋力を総動員して押し動かさなければならない。

あ、あの箪笥の裏だ……! 私が四十年前、ここに……!
あなたは管理人ガーランドと共に、重い衣装箪笥をどかそうと両手でしっかと押し据えた。しかし、長年の重みで床に固着した無垢の木は、あなたの非力さゆえにピクリとも動かない。息を整え、再び全体重をかけて押し返そうとしたその瞬間、足元が滑り、激しい衝撃とともにあなたは床へ強く打ち付けられてしまった。その隙間から、トミーの心細い泣き声が一段と大きく響き渡る。圧倒的な重さに阻まれたあなたに、同行していたレオが青ざめた顔で駆け寄った。「だ、大丈夫か、セシル……!? 一人じゃ無理だよ、僕も手伝うから、もう一度一緒に……!」その背後で、冷気がさらに室内の温度を奪っていく。
体力が 10 減少した

だ、大丈夫か、セシル……!? 一人じゃ無理だよ、僕も手伝うから、もう一度一緒に押そう!

3人で押そう
SCENE 06

あなたは痛む体を奮い立たせ、管理人ガーランド、そして固唾をのんで見守るレオと共に、重い衣装箪笥へと再び向き直った。「今度こそ、三人で一緒に押すんだ」あなたの号令に合わせ、老いた管理人と少年が力を込めて無垢の木に全体重をあずける。きいい、と床板を削るような凄まじい音が響き渡り、長年固着していた大きな箪笥が、ついに音を立ててゆっくりと横へ滑り出した。埃がもうもうと舞い散るその裏から、隠されていた小さな扉と、トミーの安堵に満ちた泣き声がはっきりと姿を現す。あなたはついに、その扉を開くための道筋を手に入れたのだ。

やったよ、セシル! 扉が開くよ、トミーが待ってるんだ……!

中に入ろう
重い衣装箪笥が脇へ押しやられ、隠されていた小さな扉がその姿を現した。あなたは管理人ガーランドとレオを従え、その開かれたばかりの冷たい隠し扉をくぐり、いよいよ塔の内部へと足を踏み入れた。目の前に広がる子ども部屋のような空間は、凍りつくような空気に満ち、息をするたびに白く煙る。壁のあちこちに不気味な霜の文字が浮かび上がり、その中央には娘が描いたというエプロン姿の女中の絵が痛々しく掛けられていた。部屋の奥にある冷たい鏡の表面にも、凍てついた文字が浮かび上がっている。同行しているレオが震える声であなたを呼んだ。「ねえ、セシル……あそこを見てよ、鏡に文字が……!」その冷気があなたたちの肌を鋭く突き刺す。

ねえ、セシル……あそこを見てよ、鏡に文字が浮かんでる……すごく冷たい風が来るよ。

壁の絵に描かれた女中の特徴を見る
あなたは凍てつく子ども部屋の壁に掛けられた、かつての女中を描いた古い絵に歩み寄った。揺らめく真鍮の燭台の光が、少女の面影を残すその姿を照らし出す。絵に描かれたエプロン姿の女中の胸元には、ひときわ丁寧に『ルーシー』という刺繍が縫い取られていた。その瞬間、部屋全体の空気がさらに冷え込み、背後から底知れぬ悲しみと怒りを帯びた凍てつく風が吹き抜ける。見えない何かがあなたのすぐ傍らに立ち、静かにあなたを見据えているような強い気配が走った。同行するレオが恐怖に震えながらあなたの腕にしがみつく。「セシル……なんだか、すごく冷たい風が……そこに誰かいるよ!」その寒気のただ中、部屋の隅にある小さな寝台の影で、毛布にくるまり怯えるトミーの姿がようやく目に飛び込んできた。

セシル……なんだか、すごく冷たい風が……そこに誰かいるよ! 早くトミーのところへ行ってあげて!

持っている真鍮の呼び鈴を鳴らす
あなたは凍てつく屋根裏部屋の入り口で、かつて女中頭の机から見つけた「真鍮の呼び鈴」を力強く鳴らした。澄んだ金属音が静寂を切り裂いた瞬間、空間全体を凍らせていた凄まじい冷気が一瞬だけピタリと止まる。その美しい鈴の音に応じるかのように、部屋の中央の空間に淡く切ない少女の影が揺らめきながら姿を現した。それは噂の「白い女」、若い女中ルーシーの霊だった。彼女の悲しみに満ちた瞳があなたを見据え、その唇がかすかに震える。「……どうして、私を置いていったの……誰も、戻ってこなかった……」彼女の胸に渦巻く四十年分の絶望と怒りが、再び凍てつく風となってあなたを襲おうとする。あなたは今こそ、手元にある書き置きと真実を彼女に突きつけなければならない。

主人の書き置きをルーシーに見せる
あなたは凍てつく屋根裏部屋の冷気の中で、ポケットから「主人の書き置き」を取り出し、目の前に揺らめくルーシーの霊へと真っ直ぐに差し出した。「見てくれ。主人はあなたを見捨ててなどいなかった。あの夜、あなたを村へ返すつもりだったんだ……!」その古びた羊皮紙の文字を見た瞬間、ルーシーの霊を包んでいた激しい怒りの嵐がピタリと静まった。彼女の悲しみに満ちた瞳にわずかな光が宿り、震える手がその書き置きの文字をそっと撫でるように触れる。「……主人さまは、私を……置いていかなかったの……?」張り詰めていた冷気が少しずつ緩み、彼女の姿が温かな光に包まれていく。そして、その背後で自分の罪に打ち震えていた管理人ガーランドが、ついにその場に崩れ落ちるように膝をついた。
主人の書き置き を手放した

私は……私はなんてことを……! すべては、私の私利私欲が生んだ過ちだ……!

ガーランドとルーシーに話をさせる
あなたは凍てつく屋根裏部屋の片隅で、崩れ落ちる管理人ガーランドと、淡く光るルーシーの霊をそっと見守った。ガーランドは震える両手で顔を覆い、掠れた声で懺悔の言葉を紡ぎ出す。「すまなかった……私の保身のために、お前を閉じ込め、恐怖の中に置き去りにした。私の罪だ……!」ルーシーの霊は、その老人の姿をじっと見つめ、悲しみに満ちた瞳から静かに冷たい涙をこぼした。彼女を取り巻く凍てつく冷気が、少しずつ穏やかな光へと溶けていく。四十年の長きにわたって絡み合っていた呪縛が、真実の告白と許しによって、いま解きほぐされようとしていた。

すまなかった……私の保身のために、お前を閉じ込め、恐怖の中に置き去りにした。すべては私の罪だ……!

見守る
SCENE 07

あなたは静かにその光景を見守った。ルーシーの霊は、かつての絶望と恨みをすべて洗い流すかのように、どこか穏やかな笑みを浮かべながらゆっくりと消えていく。四十年の長きにわたって夜ごとの開かずの扉を叩き続けた少女の魂は、ついに救済され、光の彼へと還っていった。凍てついていた屋根裏部屋の空気が嘘のように温まり、窓の外からは夜明けの柔らかな光が差し込んでくる。管理人ガーランドは崩れ落ちたままむせび泣いていたが、その表情には長年の重荷から解放された確かな安堵の色があった。あなたは隠し扉の向こうから無事に保護した少年トミーを優しく抱き起こし、同行していたレオと共に塔の階段を下りていく。玄関ホールを抜けて外へ出ると、冷たい朝霧のなかで、門の脇に寄り添うようにしてあなたたちを待ちわびていた元新聞記者アーサーの姿があった。トミーの無事な姿を見た老記者は深く息をつき、安堵の表情を浮かべる。マーロウ邸の重い玄関の扉は、一枚、また一枚と静かに閉ざされていき、二度と開くことのない永遠の眠りについた。運命の歯車は正しいかみ合わせを取り戻し、長きにわたる悪夢の夜は、穏やかな夜明けの光の中に溶けて消えていったのだ。

よくやったな、若いの。……あの子が無事で本当によかった。これで、四十年の呪いもついに終わったというわけだね。
EPILOGUE

四十年の闇に閉ざされていたマーロウ邸の謎は解き明かされ、少女ルーシーの魂は救済された。あなたは少年トミーを生還させ、呪われた屋敷に静寂と夜明けの光をもたらした。運命の歯車は再び正しく動き出し、この物語は永遠の安らぎの中に幕を閉じる。
CLEAR